フォトギャラリー撮影者紹介
伊藤 隆之(いとう たかゆき)
1964年埼玉県生まれ。日本の近代建築に関心を持ち、1989年より日本全国を廻ってこれまでに3000棟余りの様式建築を写真で記録している。
盛美館は2000年より毎年訪れ、四季折々の表情を撮影。その成果を盛美園で販売している写真集「盛美園の四季」に収め、2007年2月で行った写真展「盛美館―和洋折衷のかたち―」で発表。
このフォトギャラリーの写真はその写真展で掲示した作品である。
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日本を代表する武学流式庭園 盛美園
その豊かな緑の中に凛とした佇まいをみせる盛美館
庭園の中心には大きな泉池があり、その鏡のような水面に館の姿をおとしている
平成16年(2004) 6月中旬撮影 -
盛美館の前に広がる白砂の枯池
枯山水の「和」と館の「洋」との精妙な調和
「和洋折衷」 これが他の日本庭園にはみられない盛美園の世界観である
平成16年(2004) 6月中旬撮影 -
盛美園は平成三年の台風19号により甚大な被害を受け、八年にわたっての修復復元の年月を余儀なくされた
この写真は庭園と盛美館の修復が終わり、庭園公開を再開して間もない頃
散策路わきにある老松の剪定された枝葉が美しく空に映えている
平成12年(2000) 5月上旬撮影 -
盛美館は一階が和、二階が洋
その姿は山高帽に袴といった明治人の服装にもなぞられ、設計者の西谷市助棟梁はその時代のイメージを極めてうまくこの建築のかたちに重ねている
彼のその独自の発想と表現力により、明治邸宅の異色の傑作が津軽の地に誕生した
平成15年(2003) 5月下旬撮影 -
緑青のドームを頂いた展望室は、盛美館の洋風を強調する一番のポイント
その白壁に春の陽光を浴びて映える白梅の花々
本州の最果てである津軽は春の訪れが遅く、五月の初めに梅の花と桜の花が同時にみられる
平成年18月(2006) 5月上旬撮影 -
盛美館南側の玄関面
一階が館内に入る玄関部分で、棟飾りに立派なアクロテリオンが飾られている
二階の窓の額縁飾りもルネッサンス風でしっかりと作られており、窓のグリルの円形部分に清藤家の家紋を配している
玄関わきには大きなサルスベリの木があり、晩夏に赤い花を咲かせる
平成18年(2006) 9月上旬撮影 -
盛美館の北東角の張出し部分は厠になっており、その妻壁には松葉を象った障子窓が開けられている
手前は手水で、青銅製の器が置かれている
平成14年(2002) 6月上旬撮影 -
展望室と朧月
展望室の五方向に開けられた窓からは、庭園の全体が一望に見渡せる
もちろん名月の鑑賞にも特等席である
平成16年(2004) 5月中旬撮影 -
日中降りつづけた雨が上り夕靄に包まれる盛美館
少しずつ藍色に染まっていく庭園、幽玄閑寂の趣である
平成16年(2004) 6月中旬撮影 -
冬の夕暮れ ただ静寂
雪に覆われた庭園は暮れなずむ時と共に白から蒼の世界に移りゆく
厳寒の外気であるが盛美館からこぼれる灯りに団欒の暖かさを感じる
平成16年(2004) 2月上旬撮影 -
一階客間の平安絵巻の屏風に凝った桟の書院窓
二階の楕円形のガラス窓にカーテンのドレープ
夜になると 盛美館の魅力的な内装の要素が浮かび上ってくる
平成17年(2005) 5月下旬撮影 -
盛美館の屋根越しに秋の庭園を鳥瞰する
庭園背景の左側が「真」の築山で右側が「行」の築山
盛美館の屋根全体が銅板で葺かれており、ドームやパラペット フィニアルに見られる精巧な銅板の繋ぎ目に、職人の腕の確かさを見る
平成15年(2003) 11月上旬撮影 -
「真」の築山の東屋より、紅葉に縁取られた盛美館
この写真をご覧になった盛美園の当主 清藤茂夫氏は ― 樹々に囲まれた盛美館がまるで西洋の領主の館ように見える ― と感想を述べられていた
平成15年(2003) 11月上旬撮影 -
盛美館の前庭の飛石周辺に金砂子を散らしたような銀杏の落葉
自然が演出してくれたみやびな光景である
平成15年(2003) 11月上旬撮影 -
庭園の北東にある「真」の築山は 楓(かえで)が数多く繁っており、それらは盛美園の秋を美しく彩っている
その築山の裾野からみる盛美館
楓の葉が散る頃 庭園は冬篭りの支度にはいる
平成15年(2003) 11月上旬撮影 -
津軽平野は雪が多い
この年の冬は例年よりも早く雪が降りはじめ、また記録的に積もったという
そのため盛美館の雨どいの一部が雪の重みで破損してしまった
庭園の植栽たちは保護のために雪囲いや雪釣りが施され、春の雪解けまでじっと耐えている
平成17年(2005) 12月中旬撮影 -
雪時々晴れ 盛美館の白壁が白銀に映える
一階の庇には添え木があてられ、雪の重みから建物を守っている
平成16年(2004) 2月上旬撮影 -
ワニスの光沢が美しい階段の親柱
畳から直接階段が上がっており、ここから一階の和から二階の洋へと空間が変わる境界の階段である -
二階主人室
漆喰彫刻によりシャンデリアのセンターピース
天井周りの蛇腹や床の間の落とし掛けが洋風で作られており、明治文明開化の気品と香りを伝える美しい和洋折衷の広間である -
主人室の書院窓
障子の工芸品のような細やかな桟の細工が美しい
下部の巾木は漆喰により大理石を表現している
漆喰を塗りこめ、模様を彩色したあと、漆喰が乾く間に何度もコテを当てて艶を出す 「磨き」という高度な左官技術で仕上げられてある -
二階夫人室
部屋の床の間が洋風で表現されている
和洋折衷の極致といえるインテリア
床柱が漆喰により大理石を模してあり、制作したのは西谷市助棟梁の弟で左官職人の西谷珠吉 -
漆喰はどんな形でも作れるため明治時代西洋装飾の彫刻の材料として盛んに使われた
盛美館内の洋風装飾も優れた左官技術により表現されている
この床の間も柱頭部分の装飾がコテにより細密に彫刻されており円柱のしっとりとした艶は 仕上げの段階で人の素手によって磨き上げられて出したもの -
二階夫人室より更衣室を見る
両室の間には独特の形の透かし欄間があり更衣室の障子の窓枠や巾木の模様がユニークである -
一階客間
庭園を鑑賞するための部屋で銘木をふんだんに使用した書院造りである -
客間の書院窓
障子の桟がなんと蜘蛛の巣模様
さすがは西谷棟梁
和室のつくりも普通のものにはしない -
客間の雪見障子から庭園を眺める
額装された一枚の絵
二階の窓や展望室からの眺めもそれぞれ額の変わった絵が楽しめる
平成16年(2004) 6月中旬撮影 -
客間に座し初夏の庭園をのぞむ
館の前からV字形に飛石が打たれており二つの植え込みの間に長く横たわる石が礼拝石
その先に枯池と池泉 背景はうっそうとした「真」の築山
平成16年(2004) 6月中旬撮影 -
縁側より見る秋の庭園
漆塗りの濡れ縁に紅葉が映り込んで美しい光沢を放っている
右側の盛美園の夏の景に比べ 秋はこのような表情に変わる
縁側の角に立つ柱は 二階の展望室を支えているもう一本の大黒柱
平成17年(2005) 11月上旬撮影